2017年03月25日

「思いこみ」のちから★「零(zero)に立つ」第3巻のみどころ

天童で産まれ網走で活躍した、中川イセさんの半生を描いた
『零(zero)に立つ〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』
語り劇演者・夢実子


脚本担当のかめおかゆみこです。

物語版「零(zero)に立つ」。あらすじは、こちらに紹介してあります
が、冊子版の「零(zero)に立つ」の、各巻のみどころもご紹介して
いきます。

第1巻のみどころは、こちら! 第2巻は、こちら! 


本日は第3巻について。※あらすじは、こちら

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第3巻にも、おおきく、ふたつのヤマがあります。

ひとつめは、なんといっても、夫・卓治の父、茂市が遺した、
14万円の借金を返したこと。※いまなら、約2億8千万円。

ある意味、イセさんの人生って、借金を返しつづける人生だ
ったような気がします。…って書くと、なんだか暗い感じが
しますが。(笑)

最初は、17歳のとき、養育費を払うための500円。時代が
変わると、貨幣価値も変わりますが、それはおいといて、そ
して、今度の茂市の14万円。

それから、これは第4巻での話になりますが、市議会議員を
しりぞいたのち、博物館網走監獄保存財団の理事長になった
とき。個人の借金ではありませんが、これが6億とも8億とも。

さらに、老健施設「いせの里」を建設したときは、理事長と
して、10億を超える借入金の責任をもつ身に。

どんどん、額がふえてるんですよね。そして、ちゃんと全部
返していくんですよね。そこがすごいと想うんです。もちろ
ん、イセさんだけのちからではありませんが。

結局、第2巻のみどころともつながるところがありますが、
相手の立場になって、何がよろこびになるだろうか
と考えたことが、成果につながっていると想うんです。


みどころのふたつめは、終戦1か月前のこと。網走空襲が
あって、アメリカ軍がいまにも上陸してくる、といううわさ
が飛び交ったとき。

イセさんは、「私がおとりになって、引き止めるから、その
あいだに、みんなは逃げて」と提案します。

夢実子さんは、この場面を読んで(あ、「零(zero)に立つ」
ではなく、山谷一郎さんの「岬を駈ける女」のほうですが)
感動し、「絶対にこのひとを演じたい」と決意します。

語り劇のなかでも、この場面は、第2巻の「小梅」の場面と
同じくらい、重要な場面となっています。

ただ、後日、夢実子さんとも話したことですが、これって、
見かたを変えれば、「思いこみが強すぎる」とも言えると
想うんですよね。(笑)

だって、いくらイセさんが武術の達人でも、相手は多勢の
アメリカ軍です。しかもアメリカ軍は、艦砲射撃、要は鉄砲
です。かたやイセさんがもっているのは日本刀。

みんなが逃げるまで、引き止められるかわかりませんよね。

…と、ミモフタモナイ書きかたをしてしまいましたが(笑)、
本当に書きたかったことは、そんなふうに思い込んでしま
う、イセさんの、ひとを想う気持ちのことなんです。

いつも、まわりのひとの幸せを考えている。そもそも、上
述した、茂市の借金だって、引き受ける必要のないものだ
ったんです。

それを、いまわのきわの茂市が、少しでも安らかな気持ち
になれるようにと、約束するんです。そして、その約束を
完遂するわけです。

さいわい、アメリカ軍は上陸しませんでしたが(網走は軍
港もなかったし、人口も少ないし、もともとデマだったと想
うんですが)、イセさんの心意気は買われます。

このとき、国防婦人会の会長だった町長夫人は、のちに、
イセさんのことを、「日本のジャンヌ・ダルク」と呼んで、
称賛したそうです。

そして、この行動によって、イセさんは、それまでイセさ
んをよく想っていなかった(誤解していた)ひとたちにも、
受け入れられるようになっていったのだと想います。

イセさんの思いこみの強さは、まちがいなく、イセさんの
パワーの源と言えそうですね。


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3冊.JPG

冊子「零(zero)に立つ」の各巻のあらすじをご紹介。巻数をクリック!
              
第1巻 イセさん誕生〜17歳で北海道の遊廓にわたるまで
第2巻 遊廓での「活躍」・卓治との出会い・樺太での生活
第3巻 2億8千万の借金と岬の日々・身を捨てて・終戦
第4巻 (4月末発行予定)最終巻となります。
              
各巻1200円/送料・冊数にかかわらず200円/10冊以上で送料無料
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ブログ連載「零(zero)に立つ」のあらすじと、バックナンバーは、こちら

ブログ連載「零(zero)に立つ」にいただいた感想
01★あきらめていた夢に挑戦しました!
02★この突き抜けた底力!
03★亡父を見直すことができました
04★愛に根差して行動する勇気
05★心の重荷がようやく取り除かれました。
06★自分自身を精一杯生きること
07★負けない、負けない、負けない。
08★自ら決めて行動しなさい
09★生きざまを見守って下さい。
10★覚悟を決めて、捨て身になる
11★「どうせ」の破壊力に対する「希望」の力


ご質問をいただきました。
「岬を駈ける女」ほか、イセさんをあつかった、これまでの本と、
「零(zero)に立つ」との関係について



夢実子の語り劇を上演してみませんか?


※網走以外の、北海道の写真も掲載していきます。
hagoromonotaki.jpg
「天人峡 羽衣の滝」 
写真提供/北海道無料写真素材集 DO PHOTOさん
posted by 夢実子「語り劇」プロジェクト at 10:45| Comment(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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