『零(zero)に立つ〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』
※物語版「零(zero)に立つ」のあらすじと、バックナンバーは、こちら
脚本担当のかめおかゆみこです。
今回、物語版「零(zero)に立つ」感想募集に、ご応募いただいた
12編の感想を、昨日から1編ずつご紹介させていただいています。
おふたりめは、東京・義本伸子さん。
伸子さんは、連載途中から、フェイスブックに、何度も何度も、
うれしいコメントを書き込んでくださっていました。
今回の感想からも、ほとばしるような想いが伝わってきます。
良い読み物には、楽しく読んでハイ終わりというものと、一気
に読み終えてからも、もう一度読み返したくなり、新たな醍醐
味を発見したりして、さらに深く味わえるような佳作がある。
そんな作品は一代記ものにしても、芯が通っていて、個々の
エピソードもストーリーの奇を衒うものではなく、揺るぎない一
つの人間像の現れとして描かれる。
だから読めば読むほど、主人公の人となりが生き生きと輝い
て動き出して、その波乱万丈の生き様に何度も惹き込まれて
いくのだ。
この作品はまさに後者である。丹念な取材を元に書かれてい
る「ほぼドキュメンタリー」とのことだが、事実は小説よりも
奇なり。息をもつかせぬ劇的な展開の数々に、目が離せない。
私はFacebookで毎日配信されていたのを読んでいたのだが、
早起きの私は、さらに早起きのかめおかさんのアップを心待
ちに未明から待っていた。
それにしてもNHKの朝ドラでも、こんなに子供時代から急
展開が続く番組があったろうか?
絶対ない!と言い切れるほど、ドラマティクな人生を、100
歳余まで送り続けて来たのが、この中川イセさんなのだ。
普通ならば、こんな不幸な出来事の連続の中で、
子供なれば為すすべもなく、立ち向かう言葉も持たず、時代
と貧しさと過酷な運命に翻弄されるうちに、
涙に暮れつつも周囲に支えられ「次第に」生きる強さを身
につけていく…というのが日本式ドラマの定番と思うが、
イセさんはそんな苦労人ストーリーとは確実に一線を画し
ていた。何なんだろう、この突き抜けた底力は?
常識にとらわれず、子供時代から己れを貫く胆力と実行力。
気風の良さ。小気味好い立ち回り。溢れんばかりの好奇心
と、吸収力。
どんな逆境にもイジメにもめげない意思の力。そして正義
感と人間愛。
彼女の逞しさは、かように非凡ながらも非常に身近で、
何故か読む人にその場面への一体感を抱かせ、私達を
力づけてくれる。
「そうだ、運命は自分で切り開けるんだ!」と教えてくれ
るのだ。
どうにかならないことなんてない。
嫌なことは嫌。己れの求めるものに従って、許されなくて
も、着の身着のままでも、偉い人に掛け合ってでも、
一文無しどころか宿無し借金持ちでも、やりたい事に突き
進んでいく。時には胸のすくようなハッタリもかまして!
二度読んでも面白いのは、そんなメッセージ性に加え、か
めおかさんの心理描写の妙と、全体を俯瞰する視点もあろ
うか。
非常にわかりやすく、かつ五感に訴えるものがある。
場面の持つ意味と、次々現れる新天地の風景の色合いや
肌触り、空気感。各登場人物たちの言動の意味するもの。
テンポが早い展開の中でも、個性が際立って伝わってくる。
冊子「零(zero)に立つ」第一巻では、イセさんの子供時代
から、幼子を残し北の地に発つ前までの物語を、再び味
あわせてもらえた。
やっぱり二度目はもっと面白く味わい深い。なんて至福
だろう! 二巻が楽しみだ。
夢実子さんの朗読劇も是非見てみたい。
そしていつか是非NHKの朝ドラにして欲しいと思う。
きっと大人気になるよね! イセさん。
追伸
中学生の頃、厳しーく読書感想文の指導を受けて、いつも苦痛
でたまらなかった。それ以来「読書感想文」たるものに非常に
マイナス感情を抱いてきた。
今回、書いた事で封印を解いた感じである。書きたいこと
はスラスラ書けるとわかった。案ずるより産むが易しだ。
伸子さん、ありがとうございます
何人ものひとから言われた、「朝ドラにしたらいいのに」
でも、どうしたら、そんなことが実現するのかなあ。
まったく想像もつきませんが、とりあえず、夢実子さんが
いつも書いているように、宣言しておきます。
「希望 願望 妄想」
…と、ここまで書いていたら、フェイスブックで、こんな情報
が飛びこんできました。ひすいこたろうさんの文章です。
「予祝」
要は、先にお祝いしちゃうことで、それを引き寄せちゃうとい
うハナシ。なんだかシンクロしちゃった気分です。
※興味のあるかたは、リンクで飛んでご覧くださいね。
ではでは、明日の「感想」をお楽しみに!
これまでの感想
01★あきらめていた夢に挑戦しました!
冊子「零(zero)に立つ」第2巻・第3巻、予約受付中
第1巻 イセさん誕生〜17歳で北海道の遊廓にわたるまで(既刊)
第2巻 遊廓での「活躍」・卓治との出会い・樺太での生活
第3巻 2億8千万の借金と岬の日々・身を捨てて・終戦
※第4巻(3月発行予定)が最終巻となります。
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お問い合わせ/info@kamewaza.com
語り劇「掌編・中川イセの物語」
日時/2017年1月30日(月)19時〜21時
会場/新宿区内施設(新宿駅から約10分)
参加費/2000円(当日集めます)
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夢実子の語り劇を上演してみませんか?
※網走以外の、北海道の写真も掲載していきます。
「然別湖コタンの氷上露天風呂」
写真提供/北海道無料写真素材集 DO PHOTOさん