『零(zero)に立つ〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』
※この作品は、もともと、女優・夢実子が演ずる語り劇として書かれたものを、
脚本を担当したかめおかゆみこがノベライズしているものです。
土日祝日は、連載はお休みさせていただいています。
※これまでのあらすじと、バックナンバーは、こちら
中川イセさんは、2005年の誕生日のあと、脳梗塞にたお
れ、2007年1月1日に逝去されました。
お元気であれば、まだまだやりたいことがあったと思います。
実際、晩年を過ごされた高齢者施設「いせの里」(ご自身も
設立にかかわった)にて、2014年、取材させていただい
た折には、
もうひとつ、ダンスホールつきの高齢者施設をつくりたいと
話されていた、というお話もうかがいました。
(記憶なので、多少ちがっていたらごめんなさい)
いずれにしても、高齢者がただ老いていくだけでなく、日々
のよろこびを大切にする生きかたをしてほしいと語っておら
れた、と記憶しています。
イセさん自身は、本当に、休むことなく、人生を疾走された
かただと思います。
それも、自分自身のためというよりも、いつでも誰かのため
に。ひとのために。
そんなイセさんが、病にたおれた最後の1年あまりの時間は、
ある意味、まわりのひとたちにとっては、イセさんにたいし
て、積年の恩を返せる時間。
イセさんにとっても、誰かのささえやたすけを、無条件に
受け入れる時間。(本人にとっては不本意な時間だったか
もしれませんが…)
人生って、おあいこになっているのかもしれないなあと、
そんなふうに思います。
残念ながら、たったひとりの娘さんである愛子さんの、お
子さん・尋仁さんは、20歳で亡くなってしまいます。
(これは、まだ、物語ではふれていない部分ですが、亡く
なった理由は確認できていません)
イセさんの直接の血をひくひとは、もうどなたもおられま
せん。
それもまた、運命なのかもしれません。
それよりも、血ではなく、イセさんの精神をつぐひとがい
ればいいのだと思うのです。
夢実子さんが、語り劇「零(zero)に立つ」をとおして、
イセさんの精神を伝えつづけようとしているように。
また、このところ、あちこちからお声がかかって、「中川
イセ精神を語る」という講話をされているように。
あるいは、この劇をごらんになったかた、講話を聴かれた
かたが、それをまた誰かに伝えていくことで、イセさんの
想いはつながっていくのだと想います。
ちょうど、イセさんたちの尽力によって開通した、網走の
水道が、いまもなお、おいしい水を、イセさんのことを知
らない網走市民にも提供しつづけているように、
たとえ、「中川イセ」という名前は忘れられても、その底
に流れる生きかた、ありかたが、伝わっていけばいいのだ
と思います。
勝手な想像ですが、天国のイセさんも、同じように思って
くださるのではないでしょうか。
作家としては何の名もない私ですが、こうしてあらためて、
イセさんの物語をリメークすることをとおして、
その、伝わりの一端をになうことができれば、私のいのち
をも、少しは有効に使うことができたのかなと、思ってみ
たりもするのです。
いよいよ、今週末本番!
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札幌★夢実子 語り劇「掌編・中川イセの物語」ほか
日時/2016年11月26日(土)10時〜16時45分
会場/ちえりあ演劇スタジオ1(地下鉄東西線宮の沢駅約5分)
詳細/こちら
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網走市観光協会さまのサイトより、ご承諾を得て
網走の写真をお借りしています。ありがとうございます。
「ユリカモメ」
※一般社団法人網走市観光協会さまご提供