語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』
夢実子の語り劇を上演してみませんか?
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札幌★夢実子×ゆみこ 語り劇&ワークショップ
日時/2016年11月26日(土)10時〜16時45分
会場/ちえりあ演劇スタジオ1(地下鉄東西線宮の沢駅約5分)
詳細/こちら! お申し込み/こちら!
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いのちの使いかたを切り換える日
かめおかのメルマガ「今日のフォーカスチェンジ」13周年記念企画
夢実子ゲスト出演!★講話「中川イセのあきらめない精神」
10月22日・東京 詳細/こちら! お申し込み/こちら!
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10月12日で100話!★物語版「零(zero)に立つ」の感想募集
募集期間/2016年10月1日〜10月11日23時59分
条件/物語版「零(zero)に立つ」の感想を、400字以上
※一部の感想でもOK! 詳細/こちら! お申し込み/こちら!
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脚本担当・かめおかゆみこです。
山谷一郎著『岬を駈ける女』を主要資料としながら、かめおかの視点で、イセさんの
物語をつむいでいます。物語ですので、すべてが事実ではなく、想像やフィクション
がまじる部分もあります。けれども、イセさんの生きかたの根本ははずさないで書い
ていくつもりです。ご感想をいただければ励みになります。よろしくお願いします。
第1章 1 2 3 4 第2章 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
第3章 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
第4章 26 27 28 29 30 31 第5章 32 33 34 35 36
37 第6章 38 39 40 41 42 43 44 第7章 45 46 47
48 49 第8章 51 52 53 54 55 56 57 58 59
第9章 60 61 62 63 64 65 66 第10章 67 68 69
70 71 第11章 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81
82 83 84 第12章 85 86 87 88 89 90 第13章 91
92 93 94
※これまでのあらすじは、こちら
数日後、イセは、北海道拓殖銀行網走支店をたずねた。
まっすぐに受付に行くと、行員に告げる。
「おはようございます。支店長さんはお手すきでしょうか。
中川イセと申します。ご面会をお願いしたくまいりました」
「中川」と言った瞬間、行内の空気がさっと変わった。
さほどおおきくない町のこと、中川家の跡取り息子が、
14万円の借金を背負い込んだことは、すでに知れ渡って
いた。
「網走一の借金王」「中川家はもうだめだな」といううわさ
が、どこへいっても聴かれるほどだった。
それを融資していた拓銀であればこそ、受付の行員にい
たるまで、知らないものはいないだろう。
「はっ、はい」
飛び上がるように、行員が、支店長に取り次ぎに行く。
みな、見て見ぬふりをして、イセのようすを注目している
が、イセはまったく気にかけるふうもない。
ほどなくして、支店長室にとおされたイセは、そこにいる
支店長を見ると、ていねいに頭を下げた。
支店長の顔は、茂市の葬儀のときに見て、知っていた。
「生前は、中川茂市が大変お世話になりました。ありがと
うございます」
支店長も、居住まいを正して、頭を下げた。
「こちらこそ、長年にわたり、ごひいきにしていただき、
感謝いたしております。このたびは、本当にお悔やみ申
し上げます」
行員が、茶をもってきて、テーブルにおいたが、イセは、
まっすぐに起立したままだ。
「さ、どうぞ、おすわりください。ご用件の向きをうかがい
ましょう」
支店長は、イセに着席をうながした。
ことばはていねいだが、借金の減免などはみとめないぞ
とでもいうかのような、すきのなさも感じられる。
「ありがとうございます」
イセは、席に座ると、茶には手をつけず、正面にすわっ
た支店長をまっすぐに見据えた。
そのまなざしに、支店長は、内心、おやと思った。
これだけの借金に関する話なのだから、本来なら、当主
の卓治がきて当然だ。その代わりに、なぜ、妻が?
しかも、まったく悪びれるふうも、こびるふうもない。
それどころか、かくしようもないほど強い意思が、まなざ
しをとおして伝わってくる。
通常、莫大な借金を背負っているものは、こんな眼力は
もっていないものである。
過去には、遊廓ではたらいていたという、うわさも聴くが、
そんな雰囲気は微塵も感じさせない。
「どうぞ、お話しください」
支店長にうながされ、イセはうなずいた。
「私ども、故人が貴行から借り受けましたお金を、必ず全
額お返しいたします。しかしながら、いますぐは困難です。
私どもに時間をください。単刀直入に申し上げます。50
年の月賦にしていただきたいのです」
イセは一気に言うと、もってきた、牧場や家屋の権利書
一切の担保書類を、テーブルのうえにおいた。
「50年…ですか?」
支店長の声がかすれた。
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※イセさんの誕生〜北海道に渡るまでを、まとめて一気に読めます。
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網走市観光協会さまのサイトより、ご承諾を得て
網走の写真をお借りしています。ありがとうございます。
「感動の径ウォーク」
※一般社団法人網走市観光協会さまご提供