語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』
夢実子の語り劇を上演してみませんか?
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札幌★夢実子×ゆみこ 語り劇&ワークショップ
日時/2016年11月26日(土)10時〜16時45分
会場/ちえりあ演劇スタジオ1(地下鉄東西線宮の沢駅約5分)
詳細/こちら!
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1200円+送料200円=1400円 ※2冊以上でも、送料は据え置き200円
※イセさんの誕生〜北海道に渡るまでを、まとめて一気に読めます。
★詳細は、こちら! ★お申し込みは、こちら!
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脚本担当・かめおかゆみこです。
土日祝日は連載をお休みさせていただいていますが、今週は月
曜日も祝日だったので、お休みが多すぎるのと、今日は、私が書
きたくて書いています。(笑)
山谷一郎著『岬を駈ける女』を主要資料としながら、かめおかの視点で、イセさんの
物語をつむいでいます。物語ですので、すべてが事実ではなく、想像やフィクション
がまじる部分もあります。けれども、イセさんの生きかたの根本ははずさないで書い
ていくつもりです。ご感想をいただければ励みになります。よろしくお願いします。
第1章 1 2 3 4 第2章 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
第3章 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
第4章 26 27 28 29 30 31 第5章 32 33 34 35 36
37 第6章 38 39 40 41 42 43 44 第7章 45 46 47
48 49 第8章 51 52 53 54 55 56 57 58 59
第9章 60 61 62 63 64 65 66 第10章 67 68 69
70 71 第11章 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81
82 83 84 第12章 85 86
※これまでのあらすじは、こちら
日本の馬は総じて小型である。
こちらがサラブレッド。
それにたいして、こちらが、北海道和種…、いわゆる「道産子」である。
いずれも出典は、こちら。
サラブレッドと比較すると、ちょっとずんぐりむっくりの感がある。
けれども、「1頭あたり30〜60貫(113〜226s)の荷物を
駄載することができる」と、上記サイトには書かれている。
小柄ではあるが、ちからもち、北海道開拓には欠かせない存
在だったのである。
「イセ、おまえ、馬に乗れるか?」
翌朝、朝ごはんを食べながら、卓治が不意に訊く。
「ええ? わたすが? とんでもない」
乗るどころか、そもそもみぢかに接したことさえなかった。
「じゃあ、乗りかたをおぼえないとな」
「わたすが、馬に、乗る?!」
「牧場で暮らすんだから、当たり前だべ。よしっ、今日から、
おらが教えてやる」
「やったー。母ちゃん、オレも一緒に教えてやる!」
宗治までが、目をかがやかせて言う始末だ。
「教えるったって、宗ちゃん、あんたも、馬に乗れるの?」
「ちっこいころ、父ちゃんによく乗っけてもらったから、大体
わかる」
そのことばのとおり、宗治は、卓治に手ほどきを受けると、
すぐにひとりで乗れるようになってしまった。
けれども、イセは、そうはいかない。
そうでなくても、144センチの小柄なイセにとって、馬は、
とてつもなくおおきな生きものに想えるのである。
しかも、馬はかしこい生きものだから、おっかなびっくり近
寄れば、すぐにそれを見抜いてしまう。
そうなると、言うことなんか聴くものではない。
そして、いつもはやさしい卓治も、馬のことになると、とた
んに、きびしい教師に変身する。
ようやく馬の背に乗れたと思ったら、今度は「姿勢が悪い!」
と言いざま、バチンとむちを鳴らす。
もちろん、地面にたいして打つだけだが、馬がブルンと身
震いし、イセは思わず馬の背にしがみつく。
なんとか歩き、走らせることができるようになっても、今度
は、止めるのがむずかしかった。
いくらイセが手綱を引いても、ちっとも止まってくれないの
である。
「止まって! 止まって! 止まってくれー!」
思わず叫んでしまい、卓治に、「ばか」とあきれられた。
「母ちゃん、もっと自信もって、はっきり伝えなきゃだめだよ」
宗治にまで、言われてしまう始末である。
あるときなど、少し走れるようになったかと思ったとたん、馬
がいきなり前足をふりあげ、そのまま、どすんと落とされてし
まった。
イセがもどるのを待っていた卓治と宗治のもとに、馬は、背中
をからっぽにしたまま、意気揚々と帰って来た。
「ありゃ、落とされたな。迎えに行くか」
それでも、卓治の特訓のおかげで、一週間もすると、少しずつ
馬をのりこなせるようになっていった。
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「流氷」
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