語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』
夢実子の語り劇を上演してみませんか?
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2017首都圏公演を実現させるぞ!チームミーティング
日時/2016年9月21日(水)19時30分〜21時
会場/東京都品川区西五反田2-9-7 テルミ五反田アンメゾン413
詳細/こちら! お気軽にお立ち寄りくださいね〜♪
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札幌★夢実子×ゆみこ 語り劇&ワークショップ
日時/2016年11月26日(土)10時〜16時45分
会場/ちえりあ演劇スタジオ1(地下鉄東西線宮の沢駅約5分)
詳細/こちら!
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1200円+送料200円=1400円 ※2冊以上でも、送料は据え置き200円
※イセさんの誕生〜北海道に渡るまでを、まとめて一気に読めます。
★詳細は、こちら! ★お申し込みは、こちら!
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脚本担当・かめおかゆみこです。
山谷一郎著『岬を駈ける女』を主要資料としながら、かめおかの視点で、イセさんの
物語をつむいでいます。物語ですので、すべてが事実ではなく、想像やフィクション
がまじる部分もあります。けれども、イセさんの生きかたの根本ははずさないで書い
ていくつもりです。ご感想をいただければ励みになります。よろしくお願いします。
第1章 1 2 3 4 第2章 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
第3章 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
第4章 26 27 28 29 30 31 第5章 32 33 34 35 36
37 第6章 38 39 40 41 42 43 44 第7章 45 46 47
48 49 第8章 51 52 53 54 55 56 57 58 59
第9章 60 61 62 63 64 65 66 第10章 67 68 69
70 71 第11章 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81
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※これまでのあらすじは、こちら
樺太での2度めの冬は、イセたちにとって、目が回るような
忙しさになった。
イセの思いつき、つまり、
・たんぽもちの味を、みそだけでなく、ごまや、くるみやコケ
モモをまぜるなど、種類をふやす
・近所の女たちをやとって、生産量と配達頻度をあげる
が、みごとにあたったのだ。
庶民の食べものだから、一本一本の値段は安い。だから、
誰もが気軽に買ってくれる。
味の工夫をしたことで、あきられることなく、同じひとが何
度も買ってくれた。
社員たちのおやつにと、会社ぐるみで買ってくれるところま
であらわれた。
退院してきた卓治も、酒をつつしんで、全面協力してくれた
ので、ますます売り上げはあがったのだった。
そうして春がくるころには、女たちへの賃金をはらっても、
200円近いたくわえができた。
網走を離れるときに、茂市がくれた100円、さらに、卓治
の見舞い金としてもらった50円を返しても、まだあまる額
だった。
さらにその夏も懸命にはたらき、秋も深まったころ、イセた
ちは、ついに樺太を離れることにした。
あのあと、茂市からは何度か手紙がきて、親戚たちを説得
したこと、卓治とイセには、能取岬の牧場の管理をまかせる
ことなどが書かれてあった。
それは実質的に、牧場を卓治にゆずるということである。
そしてこれは、手紙には書かれていないことであったが、
イセたちの帰郷にあわせて、茂市は、みずから経営していた
遊廓・松葉楼の経営をやめていた。
イセを中川家にむかえるにあたって、自分がいつまでも遊廓
にかかわっていては、イセの気持ちを傷つけると考えたのか
もしれない。
また、強固に反対しつづける、卓治の妹・タマの矛先をかわ
すねらいも、あったかもしれない。
あとでそれを知ったイセは、ひそかに茂市に感謝した。
やがて、その日がきた。
2年半前、身一つでわたってきた大泊の港から、イセたちを
乗せた船は、汽笛を鳴らして離れる。
あのときと同じ海、同じ空であるはずなのに、何もかもがち
がって見えるのは、なぜだろう。
「イセ、風が気持ちいいな」
甲板で海をながめながら、卓治が言った。卓治もまた、同じ
ことを考えていたにちがいない。
「父ちゃん! 母ちゃん! 魚がはねたよ!」
海面をのぞきこんでいた宗治が、無邪気な声をあげた。2人
も思わず、海面をのぞきこむ。
当たり前の、幸せな家族の姿が、そこにあった。
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「流氷観光砕氷船おーろら」
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