2016年09月15日

物語版「零(zero)に立つ」第11章 樺太にて(12)/通巻83話

天童で産まれ網走で活躍した、中川イセさんの半生を描いた
語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』


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2017首都圏公演を実現させるぞ!チームミーティング
日時/2016年9月21日(水)19時30分〜21時
会場/東京都品川区西五反田2-9-7 テルミ五反田アンメゾン413
詳細/こちら!     お気軽にお立ち寄りくださいね〜♪
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札幌★夢実子×ゆみこ 語り劇&ワークショップ

日時/2016年11月26日(土)10時〜16時45分
会場/ちえりあ演劇スタジオ1(地下鉄東西線宮の沢駅約5分)
詳細/こちら
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「零(zero)に立つ」第1巻 
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脚本担当・かめおかゆみこです。

山谷一郎著『岬を駈ける女』を主要資料としながら、かめおかの視点で、イセさんの
物語をつむいでいます。物語ですので、すべてが事実ではなく、想像やフィクション
がまじる部分もあります。けれども、イセさんの生きかたの根本ははずさないで書い
ていくつもりです。ご感想をいただければ励みになります。よろしくお願いします。


第1章     第2章      10 11 12 13 14 
第3章 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
第4章 26 27 28 29 30 31 第5章 32 33 34 35 36 
37 第6章 38 39 40 41 42 43 44 第7章 45 46 47 
48 49 第8章 51 52 53 54 55 56 57 58 59
第9章 60 61 62 63 64 65 66 第10章 67 68 69 
70 71 第11章 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 
82 
※これまでのあらすじは、こちら


さいわい、島田夫婦が、見舞金として10円をわたしてくれ
たので、しばらくは入院しつづけるめどがついた。

それに、卓治はもともと頑健なたちなので、回復も早く、医
者に言われた「3か月」よりも早く、退院できそうなことも、
救いだった。

さらに、イセは知らなかったが、島田夫婦が、網走の、卓治
の父・茂市に、入院のことを知らせる手紙を出していた。

それを受けて、茂市が、樺太までやってきたのだ。

茂市は、直接病院に行かず、まず、イセをたずねた。突然
の訪問に、イセも宗治もおどろいた。

「お義父さん…」
「じいちゃん!」

茂市は、ひさびさに再会した宗治の頭を、いとおしそうにな
でると、深々とイセに頭を下げた。

「苦労をかけたな。宗治もこんなに元気におおきくなって…。
よくがんばってくれた。一緒に網走に帰ろう。おまえは、立
派な中川家の嫁だ」

親戚一同の手前があったとはいえ、わずか百円で、家族の
縁を切った茂市にたいして、内心で、恨みに思わなかったと
いえば、うそになる。

しかし、いま、卓治と同じおおきなからだを曲げて、頭を下
げる茂市に、イセは、感謝の気持ちしかわいてこなかった。

「お義父さん、頭をあげてください。こちらこそ、大切な卓
治さんに、大けがをさせてしまって、申し訳ありません」

「いや、島田から話は聴いた。どう考えても、あいつが悪い。
わしの育てかたの責任だ。これは、入院費で使ってほしい」

茂市は、イセに、封筒をわたした。数えてみると、50円ある。

「お義父さん、だめです。こんな大金、受け取れません」

「いや、受け取ってくれ。網走に帰ってくる旅費やら、あたら
しい生活の準備やら、何かと必要だろう」

ことわろうとしても、がんとして、受け取らない。

「わかりました。ともかく、卓治さんのところにお連れします」

茂市を、卓治に引き合わせると、思ったより回復しているのを
見て、ようやく安心したようだった。

卓治も、網走に帰れると知って、素直によろこびの表情を見せた。

それを見て、イセは思った。

(ああ、やっぱり、卓治さんは、網走を離れてさびしかったん
だなあ…)

それでも、茂市が帰ったあと、イセは、卓治にきっぱりと告げた。

「このまま帰ったら、お義父さんからも、島田のおじさんおば
さんからも、借金したままだよ。それじゃ、樺太まできたかい
がないと思うの。あと1年、がんばってはたらいて、借金を返
そう。そうして堂々と、網走に帰ろう」

卓治は一瞬しぶったが、イセの言うことももっともだった。

何より、あと1年で帰れると決まったことで、卓治も、がぜ
ん元気が出たようだ。

「イセ、わかった。オレもがんばる!」


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網走市観光協会さまのサイトより、ご承諾を得て
網走の写真をお借りしています。ありがとうございます。
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「流氷観光砕氷船おーろら」 
一般社団法人網走市観光協会さまご提供
posted by 夢実子「語り劇」プロジェクト at 05:09| Comment(0) | 物語版「零(zero)に立つ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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