2016年09月09日

物語版「零(zero)に立つ」第11章 樺太にて(8)/通巻79話

天童で産まれ網走で活躍した、中川イセさんの半生を描いた
語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』


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脚本担当・かめおかゆみこです。

山谷一郎著『岬を駈ける女』を主要資料としながら、かめおかの視点で、イセさんの
物語をつむいでいます。物語ですので、すべてが事実ではなく、想像やフィクション
がまじる部分もあります。けれども、イセさんの生きかたの根本ははずさないで書い
ていくつもりです。ご感想をいただければ励みになります。よろしくお願いします。


第1章     第2章      10 11 12 13 14 
第3章 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
第4章 26 27 28 29 30 31 第5章 32 33 34 35 36 
37 第6章 38 39 40 41 42 43 44 第7章 45 46 47 
48 49 第8章 51 52 53 54 55 56 57 58 59
第9章 60 61 62 63 64 65 66 第10章 67 68 69 
70 71 第11章 72 73 74 75 76 77 78
※これまでのあらすじは、こちら


そのまま暮らせば、収入のない冬は、夏のあいだのたくわえ
を使うしかない。

けれども、わずかでも収入があれば、そのたくわえを少しで
も使わずにすむ。

イセは、そう考えたのである。

「イセ、それはいい考えだ。オレも手伝うぞ」

「母ちゃん、オレも!」

卓治と宗治は、口のまわりにみそをつけたまま、にこにこ
顔で賛成した。

ためしにつくったものを、近所にもっていって、おすそわけ
したところ、どの家でも「うまい、うまい」と好評で、「また
つくってほしい。今度は買うから!」とたのまれた。

気をよくして、イセたちは、せっせともちをつくりはじめた。

米を炊いては、食べやすいサイズにまるめて、櫛にさし、火
にあぶってみそをつける。

イセがもちをつくると、卓治がけずった櫛に、宗治がもちを
さす。親子3人の共同作業は、なんとも楽しいものだった。

樺太には東北出身のひとも多い。

そんな郷愁がさそうのだろうか。イセがたずねていくと、次
から次へと買うひとがあらわれた。

「毎日もってきてけれや」

「おお、明日のぶんも予約するわ」

そんなひともふえだして、最初は片手間だった作業も、しま
いには、一日じゅうもちづくりに追われるようになった。

そうなると、イセはさらにはりきって、吹雪の日も休まずに、
もちを売りに歩くようになり、売り上げはさらにあがった。

こうして、樺太の冬は、思いがけず忙しく過ぎていった。

やがて、春が訪れると、川の氷が割れて、作業が再開でき
るようになった。

島田夫婦や、作業場の男たちが、現場にもどってくる。

もちづくりはいったん休みで、また、イセはまかないの仕
事、卓治は現場監督の仕事にもどっていった。

しかし、めまぐるしく仕事をしながら、イセは、次の冬に
向けて想いをめぐらしていた。

お客に、もっとよろこんでもらって、売り上げがあがるよ
うにするには、どうしたらいいだろう?

みそだけでなく、ごまやくるみなど、まぶすものを変えて
みてはどうだろう?

近所の家の女たちをやとって、もっとたくさんのもちを、
つくれるようにしてはどうだろう?

いつでも、よりよくするためには何ができるだろうかと、
工夫をこらすことに余念のないイセである。

そんなある日の午後のこと。事件は起きた。

宗治が、叫びながら、飯場にころがりこんできた。

「母ちゃーん! 大変だ! 父ちゃんが殺されるっ!!」


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網走市観光協会さまのサイトより、ご承諾を得て
網走の写真をお借りしています。ありがとうございます。
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「呼人探鳥遊歩道」 
一般社団法人網走市観光協会さまご提供
posted by 夢実子「語り劇」プロジェクト at 04:32| Comment(0) | 物語版「零(zero)に立つ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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