語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』
夢実子の語り劇を上演してみませんか?
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脚本担当・かめおかゆみこです。
山谷一郎著『岬を駈ける女』を主要資料としながら、かめおかの視点で、イセさんの
物語をつむいでいます。物語ですので、すべてが事実ではなく、想像やフィクション
がまじる部分もあります。けれども、イセさんの生きかたの根本ははずさないで書い
ていくつもりです。ご感想をいただければ励みになります。よろしくお願いします。
第1章 1 2 3 4 第2章 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
第3章 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
第4章 26 27 28 29 30 31 第5章 32 33 34 35 36
37 第6章 38 39 40 41 42 43 44 第7章 45 46 47
48 49 第8章 51 52 53 54 55 56 57 58 59
第9章 60 61 62 63 64 65 66 第10章 67 68 69
70 71 第11章 72 73 74 75
※これまでのあらすじは、こちら
遠巻きに見守っていた店の主人たちが、「あぶない!」と
叫ぶ間もなかった。
1人につづいて、もうひとりが、卓治めがけてとびかかる。
しかし卓治は、あわてない。
振り返りざま、ふとももに食らいつこうとしたひとりを蹴飛ば
すと、次に、背中に飛びかかってきたひとりを、背負い投げ
にした!
さらに、そのすばやさに呆然としていたひとりを、張り手で倒
し、もうひとりをともえ投げにしてしまったのだ。
電光石火とはこのことだ。
いつもの、凡庸にさえ見える卓治の、まるで別人のようなふる
まいに、店の主人たちは、口をあんぐり開けておどろいた。
しかし、これで終わったわけではない。最後にもうひとり。5人
の親分とおぼしき男が、いきなり刃物を出してきた。
やじうまたちのあいだから、悲鳴があがった。
だが、卓治のほうが一枚上手だった。
男に向かって、ひるむことなく突進すると、その手にびしっと
手刀をくらわせて、刃物をたたき落としてしまったのだ。
やじうまたちのあいだから、拍手喝采があがった。
「さあ、飲み食いしたぶんの金、はらってもらおうか」
いつもの、おだやかな雰囲気にもどった卓治が、言う。
男たちはおとなしく代金をはらい、すごすごとその場を立ち
去っていったのだった。
男たちが去ると、店の主人が興奮気味に、卓治に言った。
「いやあ、卓治さん、見直したよ。そんなすご腕をかくしてい
るなんて、水くさい。もう、客引きなんかやらなくていいから、
ぜひうちの店の用心棒をやってくれ」
そして、このうわさは、あっというまに、街じゅうに広まって
いき、あちこちから「うちの用心棒にも」と、引き合いがきた
ほどだ。
卓治にとっては、おおいに面目躍如というところだが、困っ
たこともあった。
「話を聴かせてほしい」「うちの用心棒を」「けんかの仲裁
を」と、あちこちに呼ばれては出かけていく。
そのたびに酒をふるまわれ、卓治も好きなものだから、そ
れにこたえると、かつての酒ぐせの悪さがまた顔を出す。
毎晩のように、ひどく酔っぱらって帰ってくるようになって
しまったのだ。
いや、帰ってくるならまだいい。
夜遅くなってももどらないので、イセがさがしにいくと、酔い
つぶれて店でおおいびき、ということも少なくなかった。
泥酔した巨漢の卓治を、引きずって帰るのは、イセにとって
は、重労働である。
それだけでなく、酔いがまわると、羽振りよくまわりのものに
おごったりして、金を使い果たしてしまう。
そのたびに、イセは、自分の稼ぎのなかから、店に支払いを
しなければならないのである。
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「JR北浜駅」
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