語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』
語り劇「零(zero)に立つ〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語」を
上演してみませんか?
このほか、会議室・喫茶店等でも気軽に上演できる、フリースタイル版
の語り劇もございます。「真知子」(25分)「掌編・中川イセの物語」(30分)
詳細はお問い合わせください。
オフィス夢実子 電話&FAX 023−658−7061
メール・yumiko@yumiko333.com
----------------------------------------------------------------
★
1200円+送料200円=1400円 ※2冊以上でも、送料は据え置き200円
※イセさんの誕生〜北海道に渡るまでを、まとめて一気に読めます。
★詳細は、こちら! ★お申し込みは、こちら!
----------------------------------------------------------------
脚本担当・かめおかゆみこです。
山谷一郎著『岬を駈ける女』を主要資料としながら、かめおかの視点で、イセさんの
物語をつむいでいます。物語ですので、すべてが事実ではなく、想像やフィクション
がまじる部分もあります。けれども、イセさんの生きかたの根本ははずさないで書い
ていくつもりです。ご感想をいただければ励みになります。よろしくお願いします。
第1章 1 2 3 4 第2章 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
第3章 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
第4章 26 27 28 29 30 31 第5章 32 33 34 35 36
37 第6章 38 39 40 41 42 43 44 第7章 45 46 47
48 49 50 第8章 51 52 53 54 55 56 57 58 59
第9章 60 61 62 63 64 65 66 第10章 67 68 69
70 71 第11章 72 73
これまでのあらすじは、こちら
出典は、こちら
日本から樺太にわたったひとは、この図を見ると、相当数
の人数であったことがわかる。
農業、林業、水産業などに従事するものがおおかったが、
それにあわせて、商業や、宿泊産業なども発展した。
島田のおじさんの言ったとおり、仕事はいくらでもあった。
イセたちは、最初、牧場の仕事についたが、一緒にはたらい
ていた他国のひとたちと、どうも気持ちが合わなかった。
たとえば、小麦を収穫しているときに、雨が降ってきた。
イセたちは、「濡れたら大変だから、全部とりこもう」と、
がんばるのだが、ほかのひとたちは、「時間になったから」
と、途中で引き上げてしまう。
「これでは気持ちよくはたらけないね」ということで、そこ
はすぐにやめて、次に旅館で住み込みの仕事についた。
イセは女中としてはたらき、卓治は番頭として客引きをする
ことになった。
女中の仕事は、子どものころから慣れたものである。すぐに、
イセは、その仕事ぶりで一目おかれるようになる。
ところが、卓治のほうは、からっきしだった。
もともと、中川家の長男とあって、子ども時代に火事で焼け
出された件をのぞけば、さほど苦労もせずに育った。
鷹揚な性格がわざわいして、押しが弱いのである。ちっとも
客をつかまえてくることができない。
イセはだまっていたが、旅館の女将から、「あんたはいいけ
ど、だんなさんのほうはね」と、ため息をつかれたりもして
いたのである。
もちろん、卓治とて、なまけているわけではない。なんとか
声をかけなければならないと、気持ちがあせる。
あるとき、港で、客引きをしていると、後ろから声をかけら
れた。
「おまえんとこの店は、どこだ?」
振り向くと、5人ばかりの人足姿の男たちが立っていた。
黒ずくめの風体はちょっと異様ではあったが、樺太には、
そういうなりをしているものは、いくらでもいた。
「おっ…、ああ、すぐそこだが」
「そうか。ちょっと一杯やらせろ。いいだろ?」
「ああ、もちろんだ」
いささか柄が悪いのは気になったが、なんといっても、
5人もの客をいっぺんにつかまえられたのは快挙である。
卓治は、意気揚々と、旅館にもどった。
ところが…。
【著者注】 文中、「人足」は、現在は放送禁止用語として使用
されないようです(漢字変換で出てこなかったため、気がつき
ました)が、当時の雰囲気を出すため、そのまま使用しています。
★ぜひ、感想をお聴かせください★
物語版「零(zero)に立つ」の感想を、ぜひお寄せください。
日曜日のブログにて、紹介させていただきます。
ブログのコメント欄にお書きいただくか、
こちらまで、メールでお寄せいただければ幸いです。
その際、掲載してよいお名前を教えてください。(匿名・イニシャル可)
また、ブログ等をおもちのかたは、URLも、よかったらお知らせください。
あわせて、ご紹介させていただきます。
網走市観光協会さまのサイトより、ご承諾を得て
網走の写真をお借りしています。ありがとうございます。

「市立モヨロ貝塚館」
※一般社団法人網走市観光協会さまご提供