2016年08月24日

物語版「零(zero)に立つ」第10章 中川卓治という男(1)/通巻67話

天童で産まれ網走で活躍した、中川イセさんの半生を描いた
語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』


本日、公演3日前!

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イッセー尾形の舞台の演出家である、森田雄三さんが、
「零(zero)に立つ」の「宣伝」をしてくださいました→こちら

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日時/2016年8月27日(土)18:00開演
会場/シベールアリーナ(客席数456)
観劇料/3000円(当日3500円)
チケット購入先
 オフィス夢実子(事務局・菅野)080-6020-8837
         メール・zeronitatsu@yumiko333.com
 シベールアリーナ 023-689-1166
 八文字屋POOL(山形市) 023-622-2150
 TENDO八文字屋(天童市)023-658-8811、
 「零(zero)に立つ」公演サポーターズメンバー、他
    


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「零(zero)に立つ」第1巻お申し込み受付中!
※イセさんの誕生〜北海道に渡るまでを、まとめて一気に読めます。

※割引価格+送料無料+「夢実子×かめおか」対談音声+
かめおかエッセイ+優先情報…これだけ盛りだくさんで、
たったの1000円! ただし明日8月25日まで!

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脚本担当・かめおかゆみこです。

山谷一郎著『岬に駈ける女』を主要資料としながら、かめおかの視点で、イセさんの
物語をつむいでいます。物語ですので、すべてが事実ではなく、想像やフィクション
がまじる部分もあります。けれども、イセさんの生きかたの根本ははずさないで書い
ていくつもりです。ご感想をいただければ励みになります。よろしくお願いします。


第1章     第2章      10 11 12 13 14 
第3章 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
第4章 26 27 28 29 30 31 第5章 32 33 34 35 36 
37 第6章 38 39 40 41 42 43 44 第7章 45 46 47 
48 49 50 第8章 51 52 53 54 55 56 57 58 59
第9章 60 61 62 63 64 65 66
※これまでのあらすじは、こちら


ここで、時間は少し巻きもどる。

「お職」となって、忙しい日々を送りながらも、イセは、柔道場
がよいだけはやめなかった。

週に一、二度であっても、思い切り気合を入れ、声をかけ、から
だを動かすことは、イセにとって、何よりの楽しみだった。

とくに、イセの得意技は、一本背負いだったから、この爽快感は、
何よりの気晴らしになった。

道場主の後藤万次郎先生が、目をかけて、かわいがってくれる
のもうれしかった。

最初は遠巻きに見たり、不快そうな顔をしていたほかのものた
ちも、イセの強さを知るにつれ、次第に仲間として受け入れてく
れるようになっていた。

いや、それどころか、その腕前には、ひそかに舌を巻くものさえ
いたほどである。

さて。そんな道場のなかで、イセには、ひとり、気になる男がいた。
名前を中川卓治という。

自分よりは11も年上で、身長は180センチ、体重80キロ
と、当時としても大柄な体格だ。何より、柔道が実にうまい。

そのみごとな巨体をフルに使っての、おさえこみ、しめわざの
迫力には、万次郎先生も、一目おくほどだった。

それだけでなく、小回りもきくので、なかなかゆだんならない。

卓治は、いつも上段者と組むので、イセとは組んだことがなか
ったが、その腕のたしかさに、いつも感心していたのである。

そんな柔道場からの帰り道。
髪をととのえながら歩くイセの背中に、声がかかった。

「おーい、帰るのかー? めしでも食っていかんかー?」

のんびりした声に振り向くと、中川卓治がそこにいた。
柔道着を丸めてぶらさげ、にこにこ笑って立っている。

イセは、その飄々とした表情につられて、思わず、
「はい!」と返事をしてしまった。

2人は、駅前の「島田待合」食堂ののれんをくぐった。

「おや、珍しい組み合わせだ」

島田待合の主人が、目を見張った。

2人のことはそれぞれ知っていたが、一緒に来るのを見
るのは、はじめてだったからだ。

「おじさん、ごぶさたしています」

イセは、ぺこりと頭を下げた。

このところ、自転車に乗る時間もなくなり、前のように足
しげく寄ることは、できなくなっていたのだ。

「おう、腹ぁへった。カツ丼をくれ!」

卓治は、どかっと椅子に腰掛けると、イセに訊いた。

「あんたも、カツ丼でいいか?」

イセがうなずくと、卓治は、にまあっと楽しそうに笑った。
なんだか、子どものような笑顔だと、イセは思った。

やがて運ばれてきたカツ丼を、卓治は、むしゃむしゃと、
豪快にたいらげ、「おかわり!」とどなった。

イセは、その食べっぷりに目を見張ったが、自分も負け
じとほうばった。そして、あとを追うように叫んだ。

「おじさん、おかわりください!」

そして、同時に運ばれてきた2杯めのカツ丼を、2人は、
きそうようにたいらげたのである。

「おめえは、オレの半分もねえからだで、たいした大まま
食らいだなあ!」

目の前で空になった丼を見て、卓治は、ますます愉快そう
に、からだを揺すって笑ったのだった。


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網走市観光協会さまのサイトより、ご承諾を得て
網走の写真をお借りしています。ありがとうございます。
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「道立北方民族博物館」 
一般社団法人網走市観光協会さまご提供
posted by 夢実子「語り劇」プロジェクト at 04:00| Comment(0) | 物語版「零(zero)に立つ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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