語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』
本日、公演4日前!
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イッセー尾形の舞台の演出家である、森田雄三さんが、
「零(zero)に立つ」の「宣伝」をしてくださいました→こちら!
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日時/2016年8月27日(土)18:00開演
会場/シベールアリーナ(客席数456)
観劇料/3000円(当日3500円)
チケット購入先
オフィス夢実子(事務局・菅野)080-6020-8837
メール・zeronitatsu@yumiko333.com
シベールアリーナ 023-689-1166
八文字屋POOL(山形市) 023-622-2150
TENDO八文字屋(天童市)023-658-8811、
「零(zero)に立つ」公演サポーターズメンバー、他
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脚本担当・かめおかゆみこです。
山谷一郎著『岬に駈ける女』を主要資料としながら、かめおかの視点で、イセさんの
物語をつむいでいます。物語ですので、すべてが事実ではなく、想像やフィクション
がまじる部分もあります。けれども、イセさんの生きかたの根本ははずさないで書い
ていくつもりです。ご感想をいただければ励みになります。よろしくお願いします。
第1章 1 2 3 4 第2章 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
第3章 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
第4章 26 27 28 29 30 31 第5章 32 33 34 35 36
37 第6章 38 39 40 41 42 43 44 第7章 45 46 47
48 49 50 第8章 51 52 53 54 55 56 57 58 59
第9章 60 61 62 63 64 65
※これまでのあらすじは、こちら
小梅の弔いが済んだあと、網走では、何日も大雪がつづき、
その冬一番というほどの雪が積もった。
そのため、客足も落ちて、イセたちは、気持ちを落ち着ける
時間ができた。
また、娼妓たちも総出になって雪かきをやり、からだを動か
すことで、沈みがちになる気持ちをとどめることもできた。
そうして、誰もがそれぞれに、気持ちを取り直そうとしていた
ある日、楼主が、娼妓たちを集めて、言った。
「いいか。おまえたちには借金がある。その借金を返さねえ
うちに、逃げたり死んだりしようなんて、思うんじゃねえ。
今日から、許可なしの外出は一切禁止だ。わかったな!」
娼妓たちは、顔を見合わせた。いまでさえ外出は制限されて
いるのに…と。
ここでも、イセは黙っていなかった。
「冗談じゃないよ。なんでもかんでも、禁止されたら、私らは
窒息してしまうよ。私らだって、人間なんだ!」
そして、娼妓たちを見回して、こう言った。
「わたすに考えがある。みんな、わたすの部屋に来てくれな
いか? みんなと話をしたい。お父さん(楼主のこと)は、
私たちの話がすむまで待っててください」
イセは言うなり、さっさと自分の部屋に引き返した。有無を
言わせぬ雰囲気である。
「お、おい、イセ…」
楼主は青ざめた。イセの行動力や影響力は、もはや痛い
ほど、よく知っていたからである。
楼主がひるんだすきをのがさず、娼妓たちも、そそくさと、
楼主の前から姿を消し、イセの部屋に集結した。
イセは、部屋の一番奥に正座し、みんなをじっと見つめた。
「姐さん、どうするつもりなの? そりゃ、外出禁止はつら
いけど、ここをやめて生きていくなんて、できないよ」
おそるおそる、ひとりの娼妓が口火を切った。
イセは、ゆっくりとうなずいて、静かに言った。
「わたすはね…、あれから一所懸命考えたんだ。もう誰に
も、小梅みたいな想いはさせたくない。どうしたら、みん
なが幸せになれるだろうかって」
みなの視線が、イセに集まった。
ここまで親身になって、みなのことを考えてくれる「お職」
が、かつていただろうか。
「本当は、いますぐこんな商売から足を洗えたら、どんなに
いいかしれない。だけど、みんな、借金にしばられた身だ」
みなは、無言のまま、うなずいた。
「だから、くやしいけど、稼ぐしかないんだ。
それも、こずるくお客をだますんじゃない。誠心誠意、お
客をよろこばせて、また来てもらうんだ。
そうしたら、売り上げもあがって、店もよろこぶし、
待遇もよくなるかもしれない。みんなの借金も返せる。
身請けしたいってひとも、あらわれるかもしれない」
考え抜いた、イセのことばには、説得力があった。
「そして、一番かんじんなのは、からだを大切にすること
だ。せっかく借金を返せても、からだをこわしちゃ、なん
にもならない」
みなは素直にうなずいた。
「困ったことがあったら、みんなで助け合うんだ。そうし
たら、一日でも早く、ここから出ていくことができる!」
イセのちからづよいことばに、ほっと、安堵の空気が、
部屋のなかに流れた。
いつしか、みんなのこころは、ひとつになっていった。
階下では、楼主と女将が、一体、どんな要求をつきつ
けられるかと、おろおろしながら待っていた。
やがて、イセが2階からおりてきた。
イセが告げたのは、これだけだった。
「昼間の外出は制限しないこと。食事の中身をもう少し
ましなものにすること。それだけ守ってくれたら、私らは、
店のために、一所懸命はたらきます」
楼主と女将がほっとしたのは、言うまでもない。
そしてその要求はみとめられ、イセたちの暮らしは、少し
だけまともなものになったのである。
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「道立北方民族博物館」
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