2016年08月15日

物語版「零(zero)に立つ」第9章「小梅」の死(1)/通巻60話

天童で産まれ網走で活躍した、中川イセさんの半生を描いた
語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』


本日、公演12日前!

イセさんの「あきらめない精神」を伝えたい!
動画、予告編は、こちら

日時/2016年8月27日(土)18:00開演
会場/シベールアリーナ(客席数456)
観劇料/3000円(当日3500円)
チケット購入先
 オフィス夢実子(事務局・菅野)080-6020-8837
         メール・zeronitatsu@yumiko333.com
 シベールアリーナ 023-689-1166
 八文字屋POOL(山形市) 023-622-2150
 TENDO八文字屋(天童市)023-658-8811、
 「零(zero)に立つ」公演サポーターズメンバー、他
    


小冊子「零(zero)に立つ」第1巻お申し込み受付中!
※特典ゲットは、8月25日まで!


脚本担当・かめおかゆみこです。

山谷一郎著『岬に駈ける女』を主要資料としながら、かめおかの視点で、イセさんの
物語をつむいでいます。物語ですので、すべてが事実ではなく、想像やフィクション
がまじる部分もあります。けれども、イセさんの生きかたの根本ははずさないで書い
ていくつもりです。ご感想をいただければ励みになります。よろしくお願いします。


第1章     第2章      10 11 12 13 14 
第3章 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
第4章 26 27 28 29 30 31 第5章 32 33 34 35 36 
37 第6章 38 39 40 41 42 43 44 第7章 45 46 47 
48 49 50 第8章 51 52 53 54 55 56 57 58 59
※これまでのあらすじは、こちら


「お職」になると、広くてきれいな部屋があたえられ、食事
の質もよくなり、客を選ぶことができるようになる。

けれども、同時に、これまで以上に、衣装や装飾品には気
をつかわなくてはならず、出費がふえた。

また、妹ぶんの娼妓の面倒も見てやらなくてはならない。

最初のころは、イセのあっというまの「出世」に、やっかむ
ものたちもいた。

とくに、何年もつとめているにもかかわらず、「お職」にな
れないばかりか、借金もへらないものたちがいる。

彼女たちが、イセをねたむ気持ちは、わからなくもない。

イセもそのことはよく承知していたから、お職になったから
といって、けっしてえらぶることはなかった。

それに、もともと面倒みのいいイセのこと、娼妓たちの、困
りごとや悩みごとには、よく耳を貸した。

もちろん、お職になったからといって、娼妓は娼妓。できる
ことはかぎられている。

それでも、ひとは、親身になって話を聴いてもらえるだけで、
いやされるものだ。

イセはどんなことも、いやな顔ひとつせず聴いてやったから、
娼妓たちのイセにたいする信頼は、日に日にましていった。

さて、そんなある夜のことだ。

その日は、昼間の宴会がふたつも入って、さすがのイセも
へとへとになって、布団に入った。

そうして眠りかけた、深夜2時ごろである。
突然、かん高い悲鳴がひびきわたった。

「助けてっ。助けてえっ。殺されるうっ!」

娼妓のひとり、八重の声だった。

「殺される」とは物騒なことばだが、客と娼妓の痴話げんか
は、遊廓ではそうめずらしいことではない。

そんなやりとりが、たわむれごとの一部であったりもする。

しかし、このとき、イセは、その声のなかに、いつもとちがう、
何か切羽詰まったひびきを感じとった。

八重の部屋は、廊下の一番奥の部屋だ。

イセは、がばっとはね起き、長い廊下を走り出した。

悲鳴は、とぎれとぎれにつづいている。

イセは部屋に着くと、迷わず、部屋の障子をひきはがすよう
に開けはなった。

見ると、布団のうえで、中年の男が、八重の上に馬乗りにな
り、首をしめあげている。

八重は、抵抗をこころみるが、男のちからにはとうていかな
わず、なかば白目を向き、むなしく手足をばたつかせている。

一刻の猶予もなかった。

イセは、男に飛びかかると、うしろから男の首に腕をまわし、
ちからまかせに八重からひきはがした。


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網走市観光協会さまのサイトより、ご承諾を得て
網走の写真をお借りしています。ありがとうございます。
0815097.jpg
「天都山から網走湖」 
一般社団法人網走市観光協会さまご提供
posted by 夢実子「語り劇」プロジェクト at 05:25| Comment(2) | 物語版「零(zero)に立つ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一気に読みました。
すごいすごい!
その時々でどう在るのかを
瞬時に考え動くのが素晴らしいです。
さすがとしか思えません。
すべてのことはムダではない
むしろ力になるんだなと思いました。
続きを楽しみにしてますね
Posted by みほ at 2016年08月15日 07:47
みほさん、ありがとうございます! 本当にそうですよね。 どんなことも、どうとらえるかによって 生きてくるのだと想います。 つづき、楽しみにしてくださーい♪
Posted by 夢実子「語り劇」プロジェクト at 2016年08月15日 07:55
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