2016年08月02日

物語版「零(zero)に立つ」第8章「お職」になる!(1)/通巻51話

天童で産まれ網走で活躍した、中川イセさんの半生を描いた
語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』


本日、公演25日前!

イセさんの「あきらめない精神」を伝えたい!
動画、予告編は、こちら

日時/2016年8月27日(土)18:00開演
会場/シベールアリーナ(客席数522)
観劇料/3000円(当日3500円)
チケット購入先
 オフィス夢実子(事務局・菅野)080-6020-8837
         メール・zeronitatsu@yumiko333.com
 シベールアリーナ 023-689-1166
 八文字屋POOL(山形市) 023-622-2150
 TENDO八文字屋(天童市)023-658-8811、
 「零(zero)に立つ」公演サポーターズメンバー、他
    


脚本担当・かめおかゆみこです。

山谷一郎著『岬に駈ける女』を主要資料としながら、かめおかの視点で、イセさんの
物語をつむいでいます。物語ですので、すべてが事実ではなく、想像やフィクション
がまじる部分もあります。けれども、イセさんの生きかたの根本ははずさないで書い
ていくつもりです。ご感想をいただければ励みになります。よろしくお願いします。


第1章     第2章      10 11 12 13 14 
第3章 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
第4章 26 27 28 29 30 31 第5章 32 33 34 35 36 
37 第6章 38 39 40 41 42 43 44 第7章 45 46 47 
48 49 50
※これまでのあらすじは、こちら


駅からほどなくいったところに、遊廓街はあった。

当時、網走には、7軒の遊廓があったが、イセが行く「金松楼」
は、そのなかでも一番おおきく、14名の娼妓(しょうぎ。遊女と
もいう)をかかえていた。

ちなみに、日本には、平安時代にはすでに、港や宿場で遊女が
多く集まる地域があった。

それが一か所に集められるようになったのは、室町時代。政府
の許可制になったのは、豊臣秀吉の時代とも言われている。

1872年(明治5年)になって、明治政府によって芸娼妓解放
令が発令されたが、実態はほとんど変わらず。

売春防止法が施行されて、法律的に完全に「公娼」が禁止
されるのは、第二次大戦後の1957年(昭和32年)のことで
あった。(出典は、こちら)

さて。はなやかな店のおもてには、店で囲っている娼妓たちの
肖像画がかかげられている。(もとは、実際に娼妓たちが並ん
だが、形骸化していったようだ)

客は、そこから、自分の好みの女を指名するのである。

イセは、そのおもてからではなく、台所のある裏口へととおさ
れて、中に入った。

冷たい板の間に正座ですわっていると、奥の戸が開いて、この
店の主人と、女将が出てきた。

番頭は、一礼すると、台所を出て行った。二人の前に、イセひ
とりが残された。

「ふん。なりはちいさいが、貧弱ではないな。立ってみろ」

言われるまま、イセが立つと、ふたりは値踏みするように、じ
ろじろと、イセを見た。

イセは、ぞっとするものを感じたが、ここでひるんではならな
いと、しっかり顔をあげて、楼主と女将の顔を見返した。

「なんだか、強情っ張りな顔をしてるよ。素直じゃない娘(こ)
は、男の受けが悪いからねえ」

女将が、口をとがらして、楼主に言う。

楼主は、また、ふん、と鼻を鳴らした。

「ここで生きていくには、このくらいの根性はあったほうがいい」

そして、品の悪いダミ声をいっそうしわがれさせて、言い放った。

「だが、忘れるな。ここでは、わしらの命令は絶対だ。さからった
ら、それ相応の罰をあたえる。わかったな」

イセは、奥歯をぎゅっとかみしめたまま、無言でうなずいた。

そのときだ。

2階から、とんとんとん…と軽い足音が聴こえて、誰かがおりて
きた。

「お父さん(遊廓では、娼妓たちは、楼主のことをこう呼ぶ)、
あたらしい娘(こ)は、もう到着したの?」

姿を見せたのは、はなやかな衣装に身を包んだ、イセよりも少し
年上に見える娼妓であった。


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網走市観光協会さまのサイトより、ご承諾を得て
網走の写真をお借りしています。ありがとうございます。
0802079.jpg
「天都山からの冬の眺望」 
一般社団法人網走市観光協会さまご提供
posted by 夢実子「語り劇」プロジェクト at 06:18| Comment(0) | 物語版「零(zero)に立つ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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