2016年07月28日

物語版「零(zero)に立つ」第7章 網走まで(4)/通巻48話

天童で産まれ網走で活躍した、中川イセさんの半生を描いた
語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』


本日、公演30日前!

イセさんの「あきらめない精神」を伝えたい!
動画、予告編は、こちら


日時/2016年8月27日(土)18:00開演
会場/シベールアリーナ(客席数522)
観劇料/3000円(当日3500円)
チケット購入先
 オフィス夢実子(事務局・菅野)080-6020-8837
         メール・zeronitatsu@yumiko333.com
 シベールアリーナ 023-689-1166
 八文字屋POOL(山形市) 023-622-2150
 TENDO八文字屋(天童市)023-658-8811、
 「零(zero)に立つ」公演サポーターズメンバー、他
    


脚本担当・かめおかゆみこです。

山谷一郎著『岬に駈ける女』を主要資料としながら、かめおかの視点で、イセさんの
物語をつむいでいます。物語ですので、すべてが事実ではなく、想像やフィクション
がまじる部分もあります。けれども、イセさんの生きかたの根本ははずさないで書い
ていくつもりです。ご感想をいただければ励みになります。よろしくお願いします。


第1章     第2章      10 11 12 13 14 
第3章 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
第4章 26 27 28 29 30 31 第5章 32 33 34 35 36 
37 第6章 38 39 40 41 42 43 44 第7章 45 46 47 
※これまでのあらすじは、こちら


「旭川」という地名は、山形にいるときに聴かされていたから、
事前に調べることができた。

けれども、網走というのは、はじめて聴く地名で、一体どこに
あるかもわからない。

「北海道の東。知床半島のつけ根近く。オホーツク海沿いの村」
と聴かされても、やはりぴんとこないのだ。

あばしり地図.JPG
出典はこちら

ちなみに、知床半島のつけ根などというと、うっそうとした原始林
で、ひとは住めない、という印象がありそうだが、この地域は、2
万年前には、すでにひとびとの居住があった。

樺太や千島列島から移住してきた北方民族〜ウィルタやギリヤ
ークなど〜であり、アイヌのひとびともまた先住者であった。

大和民族、いわゆる「和人」が、北海道の歴史上にその存在を
見せるのは、18世紀くらいからである。

1872年(明治5年)、「蝦夷地」が「北海道」と呼ばれるように
なり、「北見国網走郡」の呼称が定まり、アバシリ村となる。…と、
上記の史料にはある。

もともとは、数十戸の漁師たちが居住するだけの寒村だったが、
1880年(明治13年)に、「網走郡役所」が開庁してから、
人口がふえだした。

1890年(明治23年)には、「釧路監獄署網走囚徒外役所」
(網走刑務所の前身)が開設。

翌1891年(明治24年)、のちに「北海道集治監網走分監」と
なる、「釧路集治監網走分監」設置。

のちに高倉健主演の映画などで、一躍有名になり、全国にその
名を知られることになる「網走監獄」である。

1897年(明治30年)には、網走支庁が設置され、着実に、
網走の人口はふえつづけていた。

遊廓の歴史も、こうした集落の人口の増加と無縁ではない。

大正時代になると、すでに、北海道のあちこちの町村に、遊廓
はつくられていたのだ。

ともかくも、大正8年の3月下旬、そんな未知の土地に、イセ
はおもむくことになった。

迎えにきたのは、「金松楼」の番頭と名乗る男だった。「金松
楼」とは、イセが入ることになっている遊廓の名前である。

旭川から網走までは、約14時間。病み上がりの身には、けっ
して楽ではない旅である。

汽車は、まっすぐな北の大地をつらぬいて走る。その両側には、
どこまでも森がつづいている。

野山は、まだこんもりとした雪におおわれ、こんなところに、
ひとが住めるのかと、心細く感じる。

やがて、急に視界が開けると、木々の向こうに、すっぽりと
白い平原が見えてきた。イセは思わず身を乗り出した。

「もうまもなく着くぞ。いま見ているところはな、雪かぶってる
けど、下は氷。網走湖だ。冬はみーんな結氷しちまうから、
地面かと思っちまうだろ」

まもなく到着とあって、気持ちがゆるんだのか。番頭と名乗っ
た男は、気さくな声をイセにかけてきた。

イセは、びっくりして、汽車の窓に顔を寄せて、景色をなが
めた。広大な北海道だけあって、湖もおおきい。

ちなみに、網走湖は周囲が39キロメートル。日本の湖のな
かでは、16番目のおおきさである。

「ここは、うんまいしじみがとれるんだ。水が冷たいぶん、
こぶりだが、身が引き締まってるからな」

番頭の話はつづく。

山形は内陸で、新鮮な魚介類など、食べる機会はめったに
ない。病み上がりとはいえ、もともと食欲旺盛のイセのこと、
思わず、おなかが、きゅるっと鳴りそうになった。

汽車は、カーブを曲がると、最後の直線コースに入り、ゆっ
くりと、網走駅へと入っていった。


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網走市観光協会さまのサイトより、ご承諾を得て
網走の写真をお借りしています。ありがとうございます。
0728074.jpg
「冬の網走港」 
一般社団法人網走市観光協会さまご提供
posted by 夢実子「語り劇」プロジェクト at 05:11| Comment(0) | 物語版「零(zero)に立つ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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