2016年07月25日

物語版「零(zero)に立つ」第7章 網走まで(1)/通巻45話

天童で産まれ網走で活躍した、中川イセさんの半生を描いた
語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』


本日、公演33日前!

動画、予告編は、こちら

日時/2016年8月27日(土)18:00開演
会場/シベールアリーナ(客席数522)
観劇料/3000円(当日3500円)
チケット購入先
 オフィス夢実子(事務局・菅野)080-6020-8837
         メール・zeronitatsu@yumiko333.com
 シベールアリーナ 023-689-1166
 八文字屋POOL(山形市) 023-622-2150
 TENDO八文字屋(天童市)023-658-8811、
 「零(zero)に立つ」公演サポーターズメンバー、他
    


脚本担当・かめおかゆみこです。

山谷一郎著『岬に駈ける女』を主要資料としながら、かめおかの視点で、イセさんの
物語をつむいでいます。物語ですので、すべてが事実ではなく、想像やフィクション
がまじる部分もあります。けれども、イセさんの生きかたの根本ははずさないで書い
ていくつもりです。ご感想をいただければ励みになります。よろしくお願いします。


第1章     第2章      10 11 12 13 14 
第3章 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
第4章 26 27 28 29 30 31 第5章 32 33 34 35 36 
37 第6章 38 39 40 41 42 43 44
※これまでのあらすじは、こちら


現在であれば、山形から青森までは、仙台経由のルートをたど
るであろうが、この当時、仙山線はまだ開通していない。
(開業は1928年。全通は1938年)。

日本海がわ、奥羽線(1894年開業、1903年全通)を通っ
て、山形から新庄、横手、秋田、弘前、そして青森へといたる。

当時の時刻表によれば、山形から青森までは、ぶっ通しで乗っ
て約24時間かかった。

もちろん、いまのようなリクライニングシートなどあるはずもない。
硬い直角の背もたれの座席にすわりっぱなしで行くのである。

青森からは、青函連絡船に乗って、函館までわたるわけだが、
船に乗るのがまたひと苦労だ。

というのも、当時は、青森港は、まだ、岸壁から直接船に乗れ
るようにはなっていなかった。

船は沖合で停泊し、乗客たちは、そこまで、はしけと呼ばれる
小舟に乗っていき、そこから船に乗るのである。

(ちなみに、函館港は、1910年にはすでに、岸壁からの直
接乗降ができた。青森港は地盤の悪さから、1924年まで待
たねばならなかった)

また、船室は、一等・二等・三等とあって、一等・二等は、タ
ラップでわたることができるが、三等は、鉄のはしごでのぼっ
ていかなければならない。

イセたちは、当然、三等席であるから、荷物をかかえ、必死に
このはしごにしがみついて、のぼったのである。

船内はぎゅうぎゅう詰めに、ひとが乗っていた。三等席は桟敷
席で、乗客はみな、ひざをかかえてうずくまっている。

イセとともに乗ってきた、何人かの娘たちは、途中の汽車のな
かでも、船のなかでも、ほとんど口をきかない。

これからの身に降りかかることを思えば、口が重くなるのも無
理はないが…。

かたや、桟敷の向こうがわでは、男たちが車座になって、酒を
飲み始めていた。

北海道でひとはた揚げてやるぞ、という雰囲気が伝わってきた。
同じ桟敷のなかで、この雰囲気のちがいはどうだ。

イセは、息苦しくなって、そっと甲板に出てみた。

びゅっ…と、真冬の海風が、冷たく全身をつらぬく。

青森から函館までは、四時間あまりの船旅であるが、沖合に
出れば、どこにも陸地は見えない。

目の前には、どこまでもどこまでも広がる海。そして、見上げ
れば、やはりどこまでもどこまでも、つづく空。

この空の先に、愛子がいる。里親のコウがいる。親友のみよし
がいる。

…絶対に、帰る。帰ってみせる!

泣くまい…と、イセは、かたくかたく、歯を食いしばった。


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網走市観光協会さまのサイトより、ご承諾を得て
網走の写真をお借りしています。ありがとうございます。
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「冬の樹林 網走市天都山」 
一般社団法人網走市観光協会さまご提供
posted by 夢実子「語り劇」プロジェクト at 06:19| Comment(0) | 物語版「零(zero)に立つ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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