語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』
日時/2016年8月27日(土)18:00開演
会場/シベールアリーナ(客席数522)
観劇料/3000円(当日3500円)
チケット購入先
オフィス夢実子(事務局・菅野)080-6020-8837
メール・zeronitatsu@yumiko333.com
シベールアリーナ 023-689-1166
八文字屋POOL(山形市) 023-622-2150
TENDO八文字屋(天童市)023-658-8811、
「零(zero)に立つ」実行サポーターズメンバー、他
本日、公演40日前!
脚本担当・かめおかゆみこです。
土日祝日は、連載はお休みさせていただいています。
第1章 1 2 3 4 第2章 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
第3章 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
第4章 26 27 28 29 30 31 第5章 32 33 34 35 36
37 第6章 38 39 40
※これまでのあらすじは、こちら
この連載をはじめて、今日は最初の祝日です。
土日祝日を休載の日にしていますので、今日は、何を書こうか
と思って、かんじんなことを思い出しました。
なぜ、連載をスタートしたのか。
もちろん、中川イセさんのことを知ってほしいという想いが第一
ですが、それは、この語り劇「零(zero)に立つ」があってこそ、
伝えられること。
8月27日の、シベールアリーナに、おひとりでも多くのかたに
いらしていただきたい。
その想いからスタートしたのに、今日まで、公演情報以外、ほと
んどふれてきませんでした。(笑)
というわけで、タイトルにもあるとおり、今日は、「語り劇『零
(zero)に立つ』もしくは、夢実子という女優の魅力について」、
語りたいと想います。
脚本・演出を担当しているのに、みずから「魅力」なんて、ちょ
っとおこがましい気もするのですが、どんな作品も、いったん書
いてしまえば、作者の手を離れていくものですから…。
この作品は、3つの視点から語られる構成になっています。
ひとつは、文字通り、語り手としての視点。
そして、中川イセさん本人の視点。そして、
それを演じる夢実子さんという、ひとりの女優の視点です。
1年半前に、初稿を書き上げたとき、実は、この作品、もっとた
くさんの登場人物がいました。
夢実子さん、最初に読んだとき、難色を示されました。
前作の「真知子」は、真知子の視点で一貫して書かれていました
から、今回もそういうイメージがあったようなのです。
ひとり芝居、あるいは、ひとり語りには、いくつかのスタイルが
あります。
そのように、主人公の立場から感情移入していくような作品。
あるいは、第三者的に客観的な視点で語っていく作品。
なかには、落語のように、ひとりで何役か演じ分ける作品もあ
るでしょう。
当初のもくろみは、それぞれの時代の登場人物が、それぞれ
の視点で、「中川イセ」を語り、そこから中川イセさんという人
物の、輪郭が浮かび上がってくる、というものでした。
しかし、私が参加している脚本の勉強会で、ちょっと人物がお
おすぎて、誰が語っているのかわかりにくい。というか、そも
そもおぼえられないという指摘をいただきました。(笑)
また、もっと、イセさん本人に語ってもらいたい、という声も
ありました。
そんなこんなで、どんどん、人物をしぼっていって、最終的に、
上記の3つの視点というところに、落ち着いたわけなのでした。
「夢実子さん」本人が語る、というのは、たぶん、ご本人が一
番とまどわれた部分だったと想います。
本来、役者というものは、素の自分をかくして、その役を表現す
るわけですから。
でも、私がここ数年とりくんできたのは、誰でもどこでも一般的
に上演できる作品ではなく、そのひと、あるいは、そのグループ
にしか表現できない、「当事者性」に満ちた作品づくりでした。
鶴見俊介のことばを借りれば、「限界芸術」といってもいいかも
しれません。
その瞬間、そのひと(グループ)でしか成り立たせることのでき
ない作品を、つくりたいのです。
そのため、いつもは役の陰にかくれている、役者本人を引っ張り
だす、というのは、ある意味、私にとっては必然であったのです。
もちろん、すべてのケースで、そうするわけではありませんが、
今回、何よりも、中川イセさんを演じたいと熱望したのは、夢実
子さんご本人でした。
その熱意があってこそ、実現した舞台です。
だとしたら、その夢実子さんとイセさんを、舞台のうえで対峙さ
せたい。イセさんを語ることが、夢実子さんが舞台を生きること
につなげていきたい。
と、そんなことを最初から想ったわけではありませんが(笑)、
稽古を重ねていくうちに、ああ、そういう意味だったんだな、と、
書き手の私自身が実感したのでした。
一貫した役を演ずるのは、ある意味、楽なのです。
でも、そこにどっぷりとつかっていたかと想うと、次の瞬間には、
語り手として客観的な視点を見せ、そして、次の瞬間には、ふっ
と、自分自身(を演じる役者)として、想いを語る。
これは、女優・夢実子にとって、さらなるステップアップなのだと
想うのです。
途中までできあがった脚本を手がかりに、稽古を重ね、最終的に
小修正もふくめて、一応の決定稿となるまでに、改稿8回。
本番1か月前になっていました。
そのあいだにも、役者として葛藤しながら、さらに深まりを見せ
つづける夢実子さんが、そこにいました。
おそらく、その葛藤はこれからもつづき、作品は、進化しつづけ
ていくでしょう。
言い換えれば、私もまた、この舞台にかかわることによって、育
てられている、ということなのかもしれません。
本番まで、あと40日となりました。
どうぞ、ひとりでもおおくのみなさまに、この作品と出会ってい
ただけますよう、応援していただければ、さいわいです。
網走市観光協会さまのサイトより、ご承諾を得て
網走の写真をお借りしています。ありがとうございます。

「網走川河岸」
※一般社団法人網走市観光協会さまご提供