2016年07月05日

物語版「零(zero)に立つ」第5章 女優志願(1)/通巻32話

天童で産まれ網走で活躍した、中川イセさんの半生を描いた
語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』


本日、公演53日前!

日時/2016年8月27日(土)18:00開演
会場/シベールアリーナ(客席数522)
観劇料/3000円(当日3500円)
チケット購入先
 オフィス夢実子(事務局・菅野)080-6020-8837
         メール・zeronitatsu@yumiko333.com
 シベールアリーナ 023-689-1166
 八文字屋POOL(山形市) 023-622-2150
 TENDO八文字屋(天童市)023-658-8811、
 「零(zero)に立つ」実行サポーターズメンバー、他
    


脚本担当・かめおかゆみこです。

山谷一郎著『岬に駈ける女』を主要資料としながら、かめおかの視点で、イセさんの
物語をつむいでいます。物語ですので、すべてが事実ではなく、想像やフィクション
がまじる部分もあります。けれども、イセさんの生きかたの根本ははずさないで書い
ていくつもりです。ご感想をいただければ励みになります。よろしくお願いします。


第1章     第2章      10 11 12 13 14 
第3章 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
第4章 26 27 28 29 30 31 
※これまでのあらすじは、こちら


実家にもどると、あれほどいやみったらしい物言いをしていたモヨ
が、妙に笑顔を見せてくる。

「イセちゃん、工場ではたらくなんて、たいしたもんだねえ。苦労
もしただろう。ゆっくりお休みなさいよ」

ははあ、これは何かあるなと、イセは勘づいた。何ごとによらず、
思惑なく何かをすることなどない、安蔵とモヨなのである。

はたして、しばらく、実家の仕事を手伝いながら過ごしていると、
モヨが、さりげなくこう言ってきた。

「イセちゃん、もう14だよねえ。裁縫でも習ったらどうかねえ。
いいお師匠さんを知ってるんだよ」

いまとちがって、女の人が高等教育を受けるのは、わずか数%の時
代。たいていは、尋常小学校を卒業すると、家の仕事を手伝いなが
ら、花嫁修行をすることが多かった。

当時の旧民法では、男子は17歳、女子は15歳で結婚できるよう
になっていたようである。

童謡「赤とんぼ」の歌詞に、「15でねえやは嫁に行き…」という
くだりがある。さすがに15歳は一般的ではなかったけれども、
10代での結婚は、珍しくはなかったのである。

裁縫、家事見習いをさせて、いい縁談を結ぶ。安蔵とモヨの思惑は、
そこにあったようである。

そこにたいする引っ掛かりはあったけれども、茂雄を想うイセの胸
のなかには、淡い想いもやどっていた。

「裁縫ができるようになったら、茂雄さんの着物なんか、つくって
あげられるだろうか」

みずからの意思で離れてきたとはいえ、茂雄への想いが消えたわけ
ではない。むしろ、離れたぶんだけ、忘れがたい想いがつのる。

イセは、モヨのすすめにしたがって、裁縫を習うようになった。そ
して、勉強好きのイセにとって、あたらしい何かを学べることは、
それだけで楽しかった。

そんなこんなで過ごすうちに、農閑期になり、芸人たちがやってく
る季節になった。

「イセちゃん、久しぶりだねえ」

「元気にしてたかい」

そんなふうに声をかけてくれる、古いなじみの芸人たちもいた。

そんなある日、安蔵が、イセに声をかけた。

「東京で流行ってる芝居を、いま、かけてる。観に行くか」

お芝居はもともと大好きである。しかも、聴けば、島村抱月ひきい
る劇団芸術座の『復活』というではないか。

主演女優の松井須磨子の歌った「カチューシャの唄」(作詞・島村
抱月+相馬御風。作曲・中山晋平)

♪カチューシャ かわいや 別れのつらさ…

『復活』の成功は、この須磨子にかかっていたといい。それを象徴
するのが、この歌でもあったのだ。

大正4年(1914年)、オリエントレコードから発売されたこの歌を、
現在、動画サイトで聴くことができる。

https://youtu.be/x0ae8LXipEY

当時は、映画になったこともあり、日本中で熱狂的な流行を見せた。
日本で初めてのポップスとも言われている。

その舞台が山形で観られるというのである。イセは二つ返事でうな
ずいた。


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網走市観光協会さまのサイトより、ご承諾を得て
網走の写真をお借りしています。ありがとうございます。
0705047.jpg
「能取湖サンゴ草」 
一般社団法人網走市観光協会さまご提供
posted by 夢実子「語り劇」プロジェクト at 04:52| Comment(0) | 物語版「零(zero)に立つ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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