2016年07月02日

これまでのあらすじ/なぜフィクションをまじえるのか

天童で産まれ網走で活躍した、中川イセさんの半生を描いた
語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』


本日、公演56日前!

日時/2016年8月27日(土)18:00開演
会場/シベールアリーナ(客席数522)
観劇料/3000円(当日3500円)
チケット購入先
 オフィス夢実子(事務局・菅野)080-6020-8837
         メール・zeronitatsu@yumiko333.com
 シベールアリーナ 023-689-1166
 八文字屋POOL(山形市) 023-622-2150
 TENDO八文字屋(天童市)023-658-8811、
 「零(zero)に立つ」実行サポーターズメンバー、他
    


脚本担当・かめおかゆみこです。

土日祝日は、連載はお休みさせていただいています。


第1章     第2章      10 11 12 13 14 
第3章 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
第4章 26 27 28 29 30

★第1章★ いせよ誕生
明治34年(1901年)、今野安蔵・サダの娘、いせよ(のちの中川イセ)
誕生。サダは、産後の肥立ちが悪く、死を予感。ヤクザものの安蔵にあとを
託すことを怖れ、佐藤コウに里親を頼むと、その年のうちに亡くなった。

★第2章★ 差別と貧しさのなかで
イセは佐藤家の里子になった。佐藤家は貧しく、イセはまわりからいじめられ
たり、差別を受けたりするが、コウの愛情、親友・渡辺みよしの存在、自身の
負けず嫌いの性格で、それらをはね返して成長していく。ところが、10歳に
なると、父・安蔵と後妻のモヨがやってきて、イセを実家にもどすという…。

★第3章★ はじめての家出
実家にもどったイセは、学校にも行かせてもらえず、一日中、仕事、仕事
の日々。11歳の夏、モヨとの口論から、ついに初めての家出。山形の船
山先生夫妻の家で住み込みの女中をし、かわいがられるも、翌春、船山先
生に満州への転勤辞令が出て、再び実家にもどることになる。

★第4章★ イセの初恋(2016.6.30ぶんまで)
またまた家出し、米沢の寮づきの織物工場ではたらく。仲間もできて楽し
い日々。そんな中、隣に住む名家の次男坊・戸田茂雄が、イセを見初め、
2人は毎日のように、米沢城址、松が岬公園で会って話をするようになる。


イセさん関連の書籍は、現在、主要資料にさせていただいている、
山谷一郎さんの『岬を駈ける女』のほかにも、2冊あります。

・金子きみ『雪と風と蒼い天』(1977年)
・佐々木悦『あぐらばっちゃん』(1980年)

山谷さんの著書を主要資料にしているのは、出版年が1986年と、
もっともあとの記録までをあつかっていることが、おもな理由です。

ちなみに、もっと遅い記録は、石原宏治さんによる聴き語り「私の
なかの歴史」(1993年。北海道新聞連載)があり、これも、あわ
せて参考にさせてもらっています。

ところで、上記の3冊を読み比べて思うのは、いずれも、史実に忠
実な部分と、そうではない部分があるということです。

このあたりのいきさつについては、「あったかもしれない」物語
というテーマで、先週、書きました。


たとえば、昨日の原稿において、山谷さんの本のなかでは、茂雄
がイセさんに、家からもちだしたネックレスをプレゼントしようとし
た、という表記は省かれているのです。

この記述は、「私のなかの歴史」をもとに、書きました。

こちらは、イセさんが91歳〜92歳のときに、直接、イセさんに、
話を聴いたものをまとめていますから、おそらく事実と思ってまち
がいはないでしょう。

山谷さんがそれをあえて書かなかったのは、イセさんの初恋への
想いを、美しいものとして残しておきたかったからかもしれません。

また、山谷さんはイセさんのご親戚でもありますから、ちょっと
した遠慮がはたらいたのかもしれません。

そんなふうに、残された記録(小説)は、事実とフィクションが
ないまぜに描かれています。

金子きみさんは、たしか、前書きかあとがきのなかで、「意図し
てフィクションを織りまぜた」という趣旨のことを書いていたと
記憶しています。

なぜ、そうまでして、フィクションを織り込みたいのか。

思うに、イセさんの人生はあまりに波瀾万丈すぎ、まさに「事実
は小説より奇なり」を地でいっているような人物です。

なので、作家としては、それをそのまま書くと、まるで敗北?し
たような気分になり、そこでついつい、自分なりのオリジナリテ
ィーを出したくなるのではないかと。

いえ、そうではなく、それだけ魅力的なイセさんという人物像を、
ほかの誰でもない、自分自身の創造物とするために、ほかには
ないシーンを創造したのか。

どうであったかを、たしかめることはできませんから、いずれも
私の妄想にすぎないわけですが…。

けれども、私自身、今回、こうして書きながら、その両方の気持
ちを感じています。そうして、私もまた、「あったかもしれない」
物語を、おおいに楽しませてもらっているのです。

それほど、イセさんは、書き手にとって、想像力をかきたてる、
ゆたかな「素材」なのです。

「素材」といって失礼であれば、「逸材」と言い換えてもかまわ
ないでしょう。

それにしても、まだまだ先は長いです。
何しろ、イセさんは、105歳まで生きられましたからね。

基本的には、46歳で網走市議会議員になったあたりまでで、
そのあとは部分的にエピソードを入れるだけになるとは思いま
すが、気長に、楽しんで書きつづけます。

応援していただけたらうれしいです。


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網走市観光協会さまのサイトより、ご承諾を得て
網走の写真をお借りしています。ありがとうございます。
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「北浜トウフツ湖 ヒオウギアヤメとポニーの放牧」 
一般社団法人網走市観光協会さまご提供
posted by 夢実子「語り劇」プロジェクト at 04:19| Comment(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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