2016年06月13日

物語版「零(zero)に立つ」第3章 はじめての家出(2)/通巻16話

天童で産まれ網走で活躍した、中川イセさんの半生を描いた
語り劇『零(zero)に立つ
〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』


日時/2016年8月27日(土)18:00開演
会場/シベールアリーナ(客席数522)
観劇料/3000円(当日3500円)
チケット発売開始は、6月20日!
本日、公演75日前!


脚本担当・かめおかゆみこです。

山谷一郎著『岬に駈ける女』を主要資料としながら、かめおかの視点で、イセさんの
物語をつむいでいます。物語ですので、すべてが事実ではなく、想像やフィクション
がまじる部分もあります。けれども、イセさんの生きかたの根本ははずさないで書い
ていくつもりです。ご感想をいただければ励みになります。よろしくお願いします。


第1章     第2章      10 11 12 13 14 
第3章 15
※これまでのあらすじは、こちら 


結局、イセは、このあと、学校に通うことは二度とできなかった。

その後、モヨは、開き直ったかのように、あきらかに、イセを
「女中あつかい」する態度をとるようになった。

安蔵とて、同様である。子分の前では、気前のいいことなど言
っているが、とうてい、イセの味方にはなってくれそうもない。

学校に行きたい想いはつのるが、最初のはげしいけんかを見て
以来、下手に言い出して、またあんな騒ぎが起きるかと思うと、
イセ自身、学校のことを言い出すのがおっくうになった。

それよりも、毎日言いつけられる、目の前の仕事をこなすほう
が、おおごとになっていったのである。

実際、イセに課せられる仕事は、とても10歳の女の子に課す
べきものとしては、度を越していた。ましてや実のわが子にも
かかわらず、だ。

それでも、イセは、朝早くから、日が暮れるまで、よくはたら
いた。水汲み、掃除・雑巾がけ、炊事場の片づけにはじまって、
農家をまわって、桑を買い集めるということまでやっていた。

この桑集め、大変ではあるが、ひとつ、楽しみなこともあった。
それは、自転車に乗れることである。

桑集めをするのに、まわる地域が広すぎるため、また、大量の
桑を袋に詰めて運ぶのに、安蔵が自分の自転車を貸してくれた
のである。

ちなみに、日本で、はじめて自転車がつくられたのは、明治
10年(1877年)。写真はこのページより拝借。

自転車1.PNG

以下は、同じページよりの引用である。

日米商店の創業者、岡崎久次郎は、1905年(明治38年)
頃すでに日英同盟で日英親善の時代だったこともあり、イギ
リス製ラージ号を大量に取り扱っていました。

第1次大戦後ラージ号の商標をイギリスに返上し、以後国産
メーカーとして 「富士覇王号」と名称を改め国内での製造を
行いました。


自転車2.PNG 
同ページより拝借。

イセは、1901年の生まれであるから、10〜12歳のころ
には、まだ、国内で、日本人向けの自転車は、本格的には生産
されていなかったことになる。

そんな時代に、安蔵が自転車を個人所有していたのは、新しい
ものに目のいく、興行師としての才覚であったかもしれない。

だから、想像するに、もしかしたら、イセが乗った自転車は、
日本人の体格にあわせたものではなかったかもしれない。

いや、たとえ日本人サイズにつくられた自転車であっても、も
ともと小柄で、背もあまり高くないイセにとって、自転車は、
相当背伸びして乗るものであったにちがいない。

それでも、イセは、自転車に乗るのが好きだった。ペダルに足
をかけて、えいやっとからだを載せる。

そのまま、いきおいにまかせてペダルをこぐと、重たい自転車
も次第に速度をまして、やがてどんどん、両側の景色が飛んで
流れていくようになる。風が涼しく顔に当たる。

その風のなかを、勢いよく駆け抜けていくのが、イセは何より
も好きだった。いやなことも何もかも忘れられ、まるで、自分
自身が風になったかのように感じるからである。


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網走市観光協会さまのサイトより、ご承諾を得て
網走の写真をお借りしています。ありがとうございます。
0613006.jpg
「能取岬への道」 ※一般社団法人網走市観光協会さまご提供
posted by 夢実子「語り劇」プロジェクト at 14:11| Comment(0) | 物語版「零(zero)に立つ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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