『零(zero)に立つ〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』
※この作品は、もともと、女優・夢実子が演ずる語り劇として書かれたものを、
脚本を担当したかめおかゆみこがノベライズしているものです。
土日祝日は、連載はお休みさせていただいています。
※これまでのあらすじと、バックナンバーは、こちら
この11月に、博物館「網走監獄」を訪問した際、売店にて
2冊の本を買い求めました。

「新・網走刑務所」と、「脱獄魔 白鳥由栄」。
ともに、語り劇「零(zero)に立つ」の元本となった「岬を駈け
る女」の著者、山谷一郎さんが書かれた作品です。
実は、網走監獄に取材させていただくなかで、私自身、この
網走刑務所、とりわけ、北海道開拓とからんでの歴史に、興
味をもつようになったのです。
私は、北海道の生まれです。
祖父が、職業軍人として、山形から旭川にわたり、その後、
斜里(しゃり)に移住。そこで父が産まれました。
ですから、私は、「北海道移民3世」です。
ご先祖さまの山形は、ある意味、異国であり、北海道は故郷
ではありますが、その歴史は何も知りません。
山谷さんの「新・網走刑務所」は、そんな北海道の、「裏歴史」
というべきものを、如実にあらわしてくれています。
また、私自身の体験として、高校時代に、「地域の歴史を学
ぶ会」という会があって、参加していた時期があります。
その当時は、「常紋トンネル」の歴史を学んでいました。
★常紋トンネル★ 北海道旅客鉄道(JR北海道)石北本線
にある単線非電化の鉄道トンネルである。生田原駅と西留
辺蘂駅の間にあり、常呂郡(旧・留辺蘂町、現・北見市)と紋
別郡(旧・生田原町、現・遠軽町)を結ぶ常紋峠下を通る。
(ウィキペディアより)
この難工事にあたって、おおくの労働者が亡くなり、その遺
体が、そのままその場に埋められたという証言がありました。
実際、その後、発掘作業をしたところ、証言どおり、たくさん
の人骨が発見され、1980年(昭和55年)に、追悼碑が建
てられたとのことです。
網走から北見峠を抜ける中央道路を、受刑者のひとたちが
つくる作業をおこなったという話が、この常紋トンネルの話と
重なるのです。
私たちの歴史は、どれだけ、そうしたひとびとの犠牲のうえ
に成り立っているのだろうかと。
そうしたことを強いた当時の為政者たちのありかたを、問い
直したい気持ちと、では、現代は、そうではない時代になっ
ているのだろうか?
もしかしたら、かたちを変えて、不遇な環境におかれたひと
びとを、さらにしいたげるような状況が、ありはしまいか?
そんな想いが湧いてきてしかたがないのです。
そんなことを、取材のあいまに感じてしまったのです。
今日のエッセイは、イセさんとは直接関係のない話になって
しまったかもしれませんが、きっと、イセさんが生きていら
したら、本気でかかわってくださる話題ではないのかなあと。
そんなふうに想えてしかたがないのです。
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※網走以外の、オホーツク地方の写真も掲載していきます。

「能取岬のサンゴ草」
写真提供/北海道無料写真素材集 DO PHOTOさん