『零(zero)に立つ〜激動の一世紀を生きた中川イセの物語〜』
※この作品は、もともと、女優・夢実子が演ずる語り劇として書かれたものを、
脚本を担当したかめおかゆみこがノベライズしているものです。
土日祝日は、連載はお休みさせていただいています。
※これまでのあらすじと、バックナンバーは、こちら
今日はちょっと閑話休題。
私は中学校で演劇部に入って以来、ずっと演劇とかかわる活
動をしています。
夢実子さんも、小学校のころから舞台にあこがれ、高校で演
劇部、その後、地域の劇団を経て、東京で声優や舞台の仕事
をし、現在は、地元を拠点に活動をつづけています。
日本では、演劇は、まだまだ、「少数派」という印象が否め
ません。
もちろん、劇団〇季など、広く知られている劇団もあります
が、多くのひとにとって、演劇は、日常とは関係のない世界
です。
これ、日本人にとっては、当たり前の感覚なのですが、世界
的に見ると、逆に少数派なんですよね。
たとえば、多くの先進国では、小学校に、(正規の授業とは
かぎりませんが)「演劇」の授業が存在します。
あるとき、海外の児童文学を読んでいたら、「演劇の時間」
ということばが、当たり前のように出てきて、おどろいた
記憶があります。
ただし、日本では演劇というと、即舞台発表をイメージしや
すいのにたいして、海外のそれらは、発表は必須ではありま
せん。
さまざまな表現を体験する機会として、演劇が活用されてい
るのです。
舞台をつくるのは、高学年、場合によっては中学校以降とい
うところさえあります。
また、それ以外に、発表の機会としては、キリスト教圏では、
クリスマスの生誕劇がありますね。
そんな土壌があるせいか、おとなになっても、演劇と親しむ
おとなが多いのです。
演劇の王国・イギリスでは、街のそこかしこに、ちいさな劇
場があり、「シアターパブ」なのものがあると聴いて、うら
やましく想った記憶があります。
また、ジャズダンスやヨガをやるような感覚で、一般のひと
のための演劇教室があり、趣味感覚で、演劇を楽しむのだ
そうです。
家族で食事を楽しんだあと、観劇に…なんて、うらやましい
スタイルだってあるのです。
ヨーロッパには、劇場が街の文化の拠点になっているところ
もある、と聴いたこともあります。
国立の劇団のある国もあります。
そういう話を聴くと、つくづく、この日本の状況が残念だな
あと感じてしまうのです。
子どものころから、もっと、自分を表現するチャンスに恵ま
れていたら、もっと、自分の気持ちを伝えることができるよ
うになるのではないでしょうか?
それに、演劇は、総合芸術と呼ばれるのですが、どんな子ど
もにも、才能を活かせるチャンスがあるんです。
ひとまえに立ちたい子には、役者の役割。全体をまとめたい、
リーダーシップをとりたい子には、演出。
スタッフもさまざまです。音響、照明、衣装、メーク、小道
具、大道具、その他特殊効果。そして、舞台全体を統括する
舞台監督の仕事もあります。
舞台に立つ役者さんだけが大切なではなく、スタッフの誰が
欠けても舞台は成り立ちません。
お芝居をつくる過程には、さまざまなドラマがうまれます。
それを乗り越えて、ひとつの作品を完成させることで、チー
ムワークがうまれ、ひととつながるよろこびも体験できます。
さまざまな人種が集まる国では、お互いのちがいを知り、お
互いを尊重しあう必要があり、演劇はそれを体験する、大事
な時間になるともいえます。
演劇には「競争」はありません。順位づけもありません。な
ぜなら、表現には優劣は存在しないからです。
もちろん、技術的、技巧的な優劣はありますが、もしそれだ
けを「表現」というのなら、人間でなくてもできてしまう可
能性がありますからね。
そのひとが、そのひとでしかあらわせないかたち。それが表
現なのです。
その表現を尊重しあうときに、互いのこころに和がうまれ、
仲間の輪がつながります。
私は、演劇(表現)にふれることは、平和へのプロセスだと
信じているのです。
それは、いま、一緒に、「零(zero)に立つ」や「掌編・中川
イセ物語」をつくっている、夢実子さんも同じ気持ちだと想
います。
どうか、その気持ちに共感してくださるかたに、ぜひ、今回
の作品を観にきていただきたいと想っています。
中川イセさんという、ひとりの魅力ある存在が、かつて(20
〜30年前)は本にもなり、テレビドラマにもなったけれど、
ときを経て、忘れられてしまう。
それって、とてももったいないことです。
私たちのこの活動は、私たちのみぢかに存在した、魅力ある
人物をとおして、生きかたの多様さ、生きることのゆたかさ
を伝えることでもあると想っています。
この記事をお読みのあなたは、札幌から遠いところに住んで
おられるかもしれませんが、あなたがこの記事を、ブログや
フェイスブックなどでシェアしてくださると、
あなたとつながる誰かに届くかもしれません。
そのひとは、こうした出会いをもとめているかもしれません。
当日まで、あと2週間を切りました。ぜひ、応援していただ
けたらうれしいです♪
------------------------------------------------
札幌★夢実子 語り劇「掌編・中川イセの物語」ほか
日時/2016年11月26日(土)10時〜16時45分
会場/ちえりあ演劇スタジオ1(地下鉄東西線宮の沢駅約5分)
詳細/こちら
------------------------------------------------
---------------------------------------------------------------
★
イセさんの誕生〜北海道に渡るまで。波瀾万丈の人生の幕開けです!
1200円+送料200円=1400円 ※2冊以上でも、送料は据え置き200円
★詳細は、こちら!
----------------------------------------------------------------
夢実子の語り劇を上演してみませんか?
網走市観光協会さまのサイトより、ご承諾を得て
網走の写真をお借りしています。ありがとうございます。
「シバザクラ」
※一般社団法人網走市観光協会さまご提供